脳梗塞とは?症状・治療法・後遺症・リハビリ法などのよくある疑問に答えます!

このサイトでは、脳梗塞に罹患した患者様とその家族の方のために療養生活にも役にたつ、症状や治療法・回復後に頻度の高い後遺症やそのリハビリなどについて幅広く御紹介しています。
脳卒中はとりわけ早期発見と速やかな治療への移行が、その後の予後を決定付けます。
見逃してはいけない症状や徴候を目の当たりにしたら、タイミングを逃さないように救急車を躊躇なく呼んでください。
一旦回復したように見えても油断をするのは大敵です。
脳梗塞とは?症状・治療法・後遺症・リハビリ法などのよくある疑問に答えます!
脳梗塞でよくある疑問のひとつに、どのタイミングで救急車を呼ぶべきなのかというのがあります。
脳梗塞の初発症状は頭痛であったりフラフラするなど、風邪などのありふれた症状であることも珍しくありません。
「たいしたことはないだろう」と放置しておくことで、治療のタイミングを逸してしまい亡くなったり、回復しても深刻な後遺症に悩まされることも珍しくありません。
片側だけに麻痺がある、ろれつがまわらないなどの症状がみられたら要注意、まよわず救急車を呼んでください。
脳梗塞とはどのような病気?脳卒中との違いは?
脳梗塞とは脳内の血管や脳に血液を供給する大血管などに、アテロームという物質により閉塞をきたす病気のことです。
脳細胞は常に酸素や栄養分の供給を受けない限り、深刻なダメージを蒙ったり死滅したりしてしまいます。
脳梗塞では脳内の血管の閉塞状態を一刻も早く改善・解除することが治療の要諦になります。
ところで脳卒中というのは、脳内で発症する突発性の病気の総称のことで、梗塞のほか脳出血とくも膜下出血を含んでいます。
かつては脳卒中は日本人の死亡原因の二位を占めており、深刻で回復困難な後遺症が残ることからも恐れられてきました。
生活習慣病の一種ですが、基礎疾患として重要なのは高血圧や糖尿病・資質異常症などです。
もっとも最近ではかつてほど塩分が濃厚な味噌汁や漬物、醤油などの摂取量が減少してきたことも関係して、特に脳出血では患者数も年々減少を続けています。
脳梗塞はなかでも頻度が高い病気ですが、後遺症が残ることが多いのは相変らずで、予防が特に重要です。
脳梗塞は大きく3種類に分けられる
一口に脳梗塞と言っても、大きくラクナ梗塞・アテローム血栓性脳梗塞・心原性脳塞栓症の3種類があります。
ラクナ梗塞は、脳の深部に酸素や栄養素を届ける細い血管が狭くなることで起こるタイプです。
主な原因は高血圧で、軽度の運動障害や感覚障害が引き起こされます。
アテローム血栓性脳梗塞は、脳内の太い動脈や頸動脈の内壁にコレステロールが溜まって動脈硬化が起こることで発症するタイプです。
動脈硬化の要因となる高血圧や糖尿病、高脂血症などを持っている方に起こりやすく、運動障害や感覚障害、構音障害、高次機能障害といった症状が引き起こされます。
心原性脳塞栓症は、心房細動などにより心臓で発生した血栓が頸動脈や椎骨動脈へと流れ込み、脳の血管まで到達することで発症するタイプです。
心疾患を持つ方に起こりやすく、脳内の太い血管が詰まるため重篤な神経症状が生じやすいという特徴があります。
また、脳の広範囲がダメージを受けてしまうケースも多く、突然発症して死に至ることも少なくありません。
脳梗塞のリスクを高める危険因子について
脳梗塞を発症しやすくなる危険因子はいくつかありますが、最も代表的な原因が高血圧です。
高血圧は、血圧が慢性的に140/90mmHg以上の状態を指しますが、血圧が高いほど脳梗塞の発症リスクが高まることが知られています。
ある研究によると、収縮期血圧が160mmHg以上の方は脳梗塞の発症リスクが3.46倍、拡張期血圧が95mmHg以上の方は3.18倍になるという結果も出ているので注意が必要です。
また、高血圧以外にも、糖尿病や脂質異常症、心房細動といった疾患を持っている方は発症リスクが高まるので、適切な治療を受けておくことが大切です。
さらに、加齢・遺伝・肥満・飲酒・喫煙・ストレスなども脳梗塞の発症リスクを高める危険因子となります。
加齢や遺伝については自身でコントロールすることはできませんが、肥満や飲酒、喫煙といった生活習慣は自身でコントロールできるので、発症を予防するには生活習慣を見直しておくことが重要です。
脳梗塞の発症を予防するためには?
脳梗塞とは脳内の血管に血の塊がつまって、脳細胞への血液供給が破綻し障害や壊死をもたらす病気のことです。
いちど脳細胞が壊死すると回復することはないので、血流の支配する箇所が司る機能により多彩な後遺症を残します。
もちろん大血管が閉塞すれば落命することもあります。
したがって基本的に予防法を実践することの重要性が高いのは明らかです。
脳梗塞の発症には多くの場合、基礎疾患の存在が大きく関与しています。
予防法を実践するには原因疾患を悪化させないアプローチが基本になります。
脳梗塞の基礎疾患で重要なのは、高血圧と資質異常症になるので、これらの疾患へのケアがそのまま予防に直結するわけです。
高血圧は塩分の過剰摂取が原因であることが多いため、高血圧治療薬の服用にあわせて適切な塩分管理が必須です。
資質異常症はいわゆる悪玉コレストロールの上昇が関係しているため、青魚に含まれるDHAやEPAなどの不飽和脂肪酸を意識的に摂取するのが有効です。
脳梗塞が起こりやすい季節や時間帯はある?
脳梗塞は、一般的に6~8月に起こりやすいとされています。夏場の季節に多い理由は、汗をかいて体内の水分量が減少するためです。体内の水分量が減少して脱水状態に陥ると、血液がドロドロになるため血栓ができやすい状態となります。血栓は脳梗塞の直接的な原因となりますが、血液がドロドロになるのを防ぐためには適度な水分補給を心がけることが大切です。 また、脳梗塞は就寝中や起床後2時間以内に発症するケースが多いです。これは、就寝中や起床後は血圧が下がるために血栓ができやすくなるためだと考えられています。加えて、就寝中は脱水状態に陥りがちなのも発症リスクを高める要因となります。 なお、上記した内容はあくまで傾向であって、夏場以外の季節、就寝中や起床後以外の時間帯に発症するケースもあります。脳梗塞は生活習慣と深く関わっているので、食生活の見直しや適度な運動、禁煙、節酒といった生活習慣の改善に努めて発症を予防していくことが大切です。
脳梗塞が疑われる場合の検査について
脳梗塞は一刻を争う病気ですが、治療を開始するためには脳のどの部分で血管が詰まっているのかを把握するとともに、どのタイプの脳梗塞なのかを調べなければなりません。脳梗塞の検査では、まずCTやMRIを用いて梗塞や出血の有無を確認するとともに、タイプや症状の程度を調べます。次に、頭部の血管を立体画像化するMRA(磁気共鳴血管造影)により、動脈硬化が進行して細くなった血管や動脈瘤の有無などを調べます。脳内の動脈にカテーテルで造影剤を注入して血管の状態を画像化する脳血管造影、脳の血流の流れを可視化するSPECTなども必要です。さらに、心房細動の有無を確認するための心電図、血栓の有無を確認する心臓超音波などにより心臓の状態を調べる必要もあります。また、血液が固まりやすい状態にあると脳梗塞を起こしやすくなるため、血液の固まりやすさに関係する血小板や血液凝固線溶系の働きを調べるための血液検査も実施されます。
脳梗塞ではどのような治療が行われる?
脳梗塞に対する治療は発症からの時間や持病の有無などによって適切な方法が変わってきますが、発症から4.5時間まで有効とされているのがt-PA治療(経静脈血栓溶解療法)です。こちらは、t―PAという血栓を溶かす薬剤を静脈内に点滴投与する治療方法で、臨床試験では治療を受けた方の約4割がほとんど後遺症がなくなるまで回復しています。現在のところ脳梗塞に対する治療法の中で最も効果的と言われていますが、治療開始までには1時間ほどの時間を使って検査する必要があるため、病院には少なくとも発症から3.5時間以内に到着していなければなりません。 また、発症から4.5時間以上経過している場合は血管内治療が行われます。これは、極細のカテーテルを血管内に挿入して血栓を絡めとったり吸引したりする治療法です。t―PA治療を行った場合でも、引き続いて血管内治療を行った方が後遺症が少なくなることが分かっています。 抗血栓療法と呼ばれる薬剤をメインにした治療法もあります。投与される薬剤は原因によって異なり、動脈硬化が原因であれば抗血小板薬や抗トロンビン薬、心房細動などの不整脈が原因の場合は抗凝固薬が投与されます。
脳梗塞の後遺症にはどのような症状がある?
脳梗塞の後遺症は、脳のどの部分がダメージを受けたかによって変わってきますが、代表的な症状としては運動麻痺・感覚麻痺・視野障害・構音障害・嚥下障害・高次脳機能障害などが挙げられます。脳梗塞などの脳の病気で引き起こされる運動麻痺は片麻痺とも呼ばれており、右半身か左半身のどちらか一方に現れるのが特徴です。感覚麻痺は、触覚や痛覚が鈍感になったり過敏になったりする状態で、運動麻痺同様に左右どちらかに現れるのが一般的です。視野障害は、視野が狭くなったりモノが二重に見えたりする後遺症で、視野の半分が見えなくなる半盲、視野が部分的に失われる視野欠乏といった症状が代表的です。構音障害は、呂律が回らなくなる症状を指しますが、脳梗塞では言葉が上手く出てこなくなる失語症に悩まされるケースも少なくありません。嚥下障害は、食べ物や飲み物を上手く飲み込めなくなる症状で、誤嚥性肺炎などのリスクが高まります。高次脳機能障害は、脳の損傷によって生じる障害の総称で、記憶障害・注意障害・遂行機能障害・社会的行動障害・病識欠落・半側空間無視・自発性障害など様々な症状が引き起こされます。
脳梗塞のリハビリは急性期・回復期・生活期の3つの時期に分けて行う
脳梗塞を発症すると回復したとしても、程度には差があるにはしても後遺症が残るのが一般的です。機能障害を放置しておいても回復することは期待できないので、脳梗塞の治療とリハビリは一体のものといっても過言ではありません。 脳梗塞のリハビリでは3つの時期を意識して治療のスケジュールは構成されます。 発症してからまもなくから、数日の時期では急性期でのリハビリが早くも開始。この時期では決まった姿勢でいることによる筋肉の機能低下を防止することに重点がおかれます。 回復期とは症状をコントロールすることに成功し、退院後の生活を視野に入れたタイミングのことです。回復期では退院を目標にして、徐々に活動範囲を広げていくそう。 治療がひととおり決着し一段落し、これ以上の症状の改善が見込めないという頃合からは生活期を意識したリハビリに移行します。回復した機能の程度に対応して、自宅での日常生活を可能な限り自立して送ることが出来ることを踏まえてリハビリメニューが立てられます。